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【インターンによる発信 『若い声』】 福祉政策の『他山の石』 〜 イギリスの医療制度から考える 〜

2019年12月19日 16:55 | 若い声

イギリス北部の都市・エディンバラで一年間の交換留学を経験し、イギリスの福祉政策について学んだ。日本は先進国の中でも深刻な人口減少や少子高齢化の問題を抱え、高齢者を支えていく医療や介護などの福祉は今後さらに重要な課題となっていくであろう。そのような中、福祉国家の発祥国であるイギリスで福祉政策を学んだことは、日本の今後の福祉のあり方を考察する上で有意義な経験となった。


イギリスの医療制度を担うのがNHS (National Health Service) とよばれる国民健康保険サービスである。移民にも移民用の健康保険サービスへの加入が義務付けられており、私もビザ申請の際に約4万円を支払い加入した。NHSの制度では、政府が税金を主な財源として医療サービスを無償で提供している。無償とは言え、租税を財源とするため限界があり、処方薬や歯科、眼科など一部の医療に関してはカバーされない。そのため、国民の1割以上がNHSを補完する形で民間保険にも加入している。企業が従業員に民間保険を提供しているケースもある。


イギリスでは病気を患うとまずは、あらかじめ登録している地元のかかりつけ医の元へ行く。この予約には相当時間がかかる場合も少なくなく、2週間待ちということもある。かかりつけ医がさらに専門的な治療が必要と診断すると、大学病院のような専門医を紹介してくれる。いわば、かかりつけ医が「家庭医」として定着しており、専門医への取り継ぎを選定するゲートキーパーとしての役割を果たしていることになる。


私自身は幸いなことに留学中病院で診てもらうことはなかったが、実際にイギリスの診療所で診てもらったことのある日本人の友人は、風邪で辛い中2時間も待たされ、その上、水をよく飲めとアドバイスを受けただけだった。待ち時間の問題はNHSの問題点として度々指摘される点であり、それが医療サービスの質の低下にも繋がっているとの声もある。このようなイギリスの国営による医療制度であるが、1980・90年代のサッチャー政権時代から変革が繰り返され、部分的に市場主義が取り入れられてきた。規制緩和が進んだ結果、私立病院の設立が可能となり、特にイギリスのイングランド地方では、待ち時間がなく、かつ医療の質の高さや多様な医療サービスを売りとする私立病院が数を増やしている。このようにイギリスの医療制度は待ち時間など数々の問題点を抱えながらも、1946年の設立以降少しずつ変化しながら時代の流れに沿った改革がなされている。


一方日本の医療制度には社会保険方式が適用されており、国営で無償の医療サービスを提供するイギリスの医療制度とは大きく異なる。しかし、6月25日付の日本経済新聞によると、厚生労働省はイギリスの家庭医のような、かかりつけ医の任意登録制度を検討し始めたとのことである。(https://www.nikkei.com/article/DGXMZO46515120U9A620C1MM8000/)。これには、登録したかかりつけ医の診察料を定額制にすることで過剰な医療の提供をおさえるという狙いがある。日本では一年に一人が医療機関を受診する回数の平均が年12.8回と、諸外国と比較しても多く、これが医療費の負担を大きくしているとの見方がある。日本医師会は「医療費抑制策」であるとして、かかりつけ医の登録制度には反対しているが、私は持続可能な医療制度を構築していくためには、このような改革も必要なのではないかと考える。任意での加入ということであるし、病院に行く機会が多い患者が加入すれば、医療費を大幅に削減することができるだろう。もちろん、かかりつけ医の登録制には患者が自由に医療機関を選ぶことのできる選択の自由の侵害や、診療所の経営を圧迫するなどの懸念がある。しかし、今後労働人口が減っていく中でいかに限られた財源の中で医療費の負担をどう減らしていくかという策は練っていく必要がある。


イギリスなど、他国の医療制度から学ぶことは多い。想定される問題点をできるだけ抑えつつも、将来世代にも続いていけるような持続可能性をもつ、効率的な医療制度を本格的に検討していくべき時が来ていると言えるだろう。(インターンR・S)


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(写真出典 https://www.england.nhs.uk/)

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