【インターンによる発信 『若い声』】 コロナ禍で再考する大学の意義

2020年9月23日 09:32 | 若い声

大学生のライフスタイルもコロナ禍で大きく変化した。

 

第一の変化はオンライン授業化である。リアルタイム配信型、オンデマンド型、資料提示のみの自己学習型など、大学によって対応策が異なるが、都心の大学はほぼ全てがオンライン授業を行なっているのが現状だ。ほとんどの大学生が大学に行くことはなく、自前または支給されたPCの前で授業を受ける。さらに、PCを持っていない学生への対応も大学によって異なっている。政府としては2023年度までとしていた1人1台のパソコン端末の整備を前倒しし、緊急経済対策に1951億円を盛り込んだ。さらに通信環境のない家庭にはモバイルルーターを貸与することが決定した。しかし、行政と各教育機関、各教育機関と学生の間でタイムラグがあり、支給に時間がかかっている。

 

私が通っている大学では、PC、Wi-Fi機器の貸与を第1回では3000名までと制限が設けられ、さらにその申請手続きは時間を要するものとなっている。私の友人の中にはオンライン授業が始まったにもかかわらず、PCを借りることができず、PCがある施設へわざわざ移動して授業を受けている者もいる。このような状況のなかで、私たちはキャンパスライフを再び体験することができるのだろうか。夢と希望に満ち溢れたはずの新入生にとっては非常に厳しい現実が突きつけられているのではないだろうか。朝から晩までパソコンに向かい合って、入学した実感もなく、孤独の中で日々を生きているのではないだろうか。対面での学び、サークル活動や相談できる友達、直接的な人の触れ合いもなく、悶々とした日々が続いているのではないだろうか。

 

第二の変化はコミュニケーションのとり方である。これは第一の変化に因るものが多分にあると考える。直接友人と会う機会が減り、コミュニケーションツールがこれまでのSNSからZoomなどのウェブ会議システムへと拡がりをみせている。私の体験だがZoom上で交流した際に、現実の交流とは異なり、話が続かなかったり、30分の会話だけで疲労を感じたり、会話のリズムを掴むことが難しく、交流の仕方が変化していると身をもって経験した。ネット上でのトラブルを増やさず、新たなコミュニケーションに適応するため、閉ざされた空間のための新種のITリテラシーを持つことは重要であろう。

 

私はコロナ禍において教育分野でオンライン化などのパラダイムシフトが進行していくと考える。ライフスタイルや地球環境、1人の子どもにかけられる教育費の格差の問題、そして教員レベルの問題がオンライン化によって解消されるかもしれない。いつでもどこでもだれでも授業を受けることができるようになり、自分の望むハイレベルな教育を受けることができるようになるだろう。このようにオンライン教育の環境の整備が進むときに、我々大学生は、「大学の意義とは何か」を考えさせられるだろう。大学とは他者(学生や教授、テキスト等)と向き合いながら、いわゆる直接的な対話があってこそ成り立つものであると私は考えてきた。しかし、このような従来のとらえ方ではなく、デジタルのなかで新たな大学像と学生像を形作っていく時代がもう目の前にきているのかもしれない。コロナ禍で変化を求められたとはいえ、大学生活は、ハイレベルな教育を受けるという視点だけではなく、他者との関わり合いの中での人間形成も重視する有為な学習環境であってほしいと思う。

 

(インターンY・S)

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