【インターンによる発信 『若い声』】 web3と政治② 〜「とりあえずやってみる」〜

2023年2月17日 12:20 | 若い声

 前回の『若い声』で「大学でweb3について話している学生はほとんど見ない」と書いたところ、記事を読んでくれた大学の後輩から抗議の声が届いた。「web3関係の事業を考えてて、大学でめちゃめちゃ話してます」とのことだったので、自分の安易な発言への謝罪の意味も込め、直接話を聞かせてもらうことにした。


 彼はDAO(Decentralized Autonomous Organization、分散型自律組織)で芸術に関するプロジェクトを始めたいそうで、明確な理念や目標を設定し、熱意にも溢れていた。しかし、プロジェクトの第一歩になる「DAOを作る」というところで止まってしまっているという。お互いの知識を絞り出しながら色々と話し合ったが、ふわふわした知識しか持っていないweb3勉強歴数ヶ月の私がアドバイスできるわけもなく、2人の会話は「結局DAOは何をもってDAOたり得るのか。」という議論に行き着いた。

 デジタル庁Web3.0研究会は、DAOを「ブロックチェーン技術やスマートコントラクトを活用し、中央集権的な管理機構を持たず、参加者による自律的な運営を目指す組織形態(※1)」と定義している。この定義のうち、前半部は「技術」に関するものであり、後半部は「理念」に関するものである。しかし、プログラミングなどの専門知識を持たない私たちにとっては、いくら理念があったとしても、技術に基づいたDAOをすぐに実現することは難しい。「非中央集権型の自律的な運営」という理念にフォーカスしただけの組織は、DAOとは呼べないのだろうか。DAOをDAOたらしめるのは、技術と理念どちらなのだろうか。


 平将明議員と昼食を食べている時に、この疑問をぶつけてみた。平議員は、「どっちもだと思う。けど、"DAO的なコミュニティ"をとりあえず作ってみればいい。技術が無くても、Discord(※2)上でDAOの理念を実現できる仕組みやルールを、工夫しながら作って体験することが重要な第一歩だ。」と答えられた。つまり、理念があるなら、まずできるところから動き出してみるべき、ということだ。そして "DAO的なもの"を体験し、輪が広がっていく過程のなかで、技術をベースにした本当のDAOへの足がかりができるということだろう。web3に限らず普段から新しい技術や製品をいち早く導入し、「やってみる」を体現しているアーリーアダプタである平議員の言葉に、道が開けた思いがした。


 この「とりあえずやってみる」というのは、web3のさまざまなコンテンツにおいて、単純ではあるが最も重要な事だと感じる。DAOをはじめとするweb3関連のトピックは、その概念は頻繁に解説され議論されるが、具体的なユースケースを見たり触れたりする機会はまだまだ少ない。特に専門技術を必要とする分野や、お金を必要とする暗号通貨・NFTの保有は、私たち学生にはハードルが高い。しかしだからと言って、できることが何もないわけではない。"DAO的なもの"を作るために動き始めた大学の後輩は、様々な人に働きかけ、大学の教員からの協力を得られることになったという。私自身も、web3と自分の距離を近づけることから始めていきたい。


(インターン I・K)


※1 Web3.0研究会「Web3.0研究会報告書 〜Web3.0の健全な発展に向けて〜」p.21
※2 テキスト・ビデオ・音声でチャットできるコミュニケーションサービス。


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