第18回カフェスタトーク【小林節慶応大学教授】

2012年5月28日 16:59 | カフェスタトーク

東日本大震災の発生や尖閣諸島問題への対応の過程で、我が国の憲法上の問題点や非常事態条項の不記載等が浮き彫りになり、改憲の機運が高まってきている。こうしたことから今回は、平将明議員が「今なぜ憲法改正なのか?」と、はじめに大きな網を掛け、小林節教授と憲法改正問題の核心へと議論を絞り込んでいく。

 自民党の憲法改正草案を叩き台として、何が改正で何が改悪かの議論が進む。小林教授は、自民党草案が国民主権・基本的人権の尊重・平和主義の三大原理を明記し、その上で国旗国歌や天皇元首を規定している点などを評価する。その一方で、権力者による権力の濫用から国民を守るはずの憲法において、愛国の義務を課した点などは批判すると述べた。
 そして、憲法9条へと議論は進む。9条1項に関して、自衛のための戦争、そのための戦力は、パリ不戦条約で国際社会が確認したことであり、本来は認められるという点、「集団的自衛権は保持しているが行使できない」という解釈は「行使できないのなら持っていないのではないか」とも言えるため、議論の混乱を招くだけという点で、2人の意見は一致した。さらに小林教授は、国防軍という名称に関して、「プロの集団が国を守る」という意味合いを出せるので良いと述べた。
 「平和を愛する諸国民の公正と信義」を前提とした現行憲法では、現実的な解決策を生み出せない。そのため改憲は必要であるという結論に二人は至った。その上で小林教授は、現実に即した憲法にするためには、(自民党などが)説得力のある改憲論を打ち出し、それを基に大いに議論をすることが大切だと語った。

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