【インターンによる発信 『若い声』】  児童生徒のための学校の在り方

2015年8月19日 16:28 | 若い声

 インターンのY・Kです。私は先日、自民党文部科学部会の会合に出席し、「これからの学校教育を担う教員やチームとしての学校の在り方について」の中間まとめ報告を傍聴しました。「チームとしての学校」とは、学校内の人材がそれぞれの専門性を活かして、子供たち一人一人に必要な資質や能力を身に付けさせることができる学内の仕組みのことです。日本の学校に通ったことのない、いわゆる帰国子女の私には興味深い会合でした。

 会合では、「チームとしての学校」が求められる背景として、「社会の変化と学校を取り巻く状況の変化」と「我が国の教職員の現状」が挙げられました。前者には「多様化・複雑化する子供の状況への対応」と「学校教育の質的充実に対する社会的要請の高まり」があり、後者には「教員以外の専門スタッフの割合が諸外国と比べて低い現状」と「日本の教員は授業等に専念することができない現状」があります。

 私はまず「教員以外の専門スタッフの割合が低い現状」に注目しました。現在、日本の高校までの学校では、教員各自が授業、生徒指導、部活動など様々な業務を担っていますが、「チームとしての学校」では、教員、心理相談の専門家"スクールカウンセラー"や福祉相談の専門家"スクールソーシャルワーカー"などの専門スタッフ、理科の実験支援員などのサポートスタッフ、これら三者が役割を分担します。私が通っていたインターナショナルスクールや北米の学校では、スクールカウンセラーは日常的に生徒が相談できる存在で、学校のことからプライベートな事まで話せる相手でした。カウンセラーは専門的な職業なので、他の業務と同時に行うのは難しいため、日本の教育に専門スタッフとして取り入れるのは良い事だと私は確信しています。

 背景のうちの「多様化・複雑化する子供の状況への対応」には、いじめの問題があります。内閣府の平成27年版「子供・若者白書」によると、学校に認知されたいじめは、平成25年度は185,803件で、前年度の198,109件から若干減少しました。しかし、中学校と高校では減少したものの、小学校では引き続き増加しています。そして、いじめられた子供がスクールカウンセラーに相談する割合は低い、と評価されています(下図参照)。これらのことから、「チームとしての学校」が機能していくためには、子供の相談相手がスクールカウンセラーになるような施策が不可欠となっています。

 スクールカウンセラーは、日本の子供や若者にとっては問題が起きた時に訪ねる人として近づきにくい存在かもしれません。そのため、インターナショナルスクールや北米の学校のようにもっと親しみやすい文化を創造する必要があると考えます。私が通っていたインターナショナルスクールでは、生徒がいつでも気楽に友達のようにスクールカウンセラーに近づける環境を作っていました。スクールカウンセラーは学校内を歩き、みんなの顔と名前を覚え、生徒たちに日常的に話しかけていました。さらに、スクールカウンセラーの部屋のドアは常に開いていて、生徒がいつでも入れる空間を作っていました。日本の学校も「チームとしての学校」を取り入れる際、専門スタッフの存在と役目を生徒に明らかにし、スクールカウンセラーだったらインターナショナルスクールをモデルにしたら良いと考えます。

児童生徒のための学校の在り方.pnghttp://www8.cao.go.jp/youth/whitepaper/h27honpen/pdf/b1_03_01_03.pdf

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