【秘書ログ】チケット不正転売で考える"公器の役割"

2019年1月 7日 20:05 | 秘書ログ

 自民党のライブ・エンタテインメント議員連盟での業界ヒアリングの着手から、昨年冬の臨時国会での法律の成立まで足かけ3年、平議員がその成立に尽力してきた一つの議員立法が実を結んだ。チケット不正転売規制法(正式名称は「特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律」)のことである。
 この法律は、コンサートやスポーツの観戦チケットなどを販売価格を超える価格で転売する業者に規制をかけるもの、より具体的に言うと、自動プログラム等を用いてインターネットでチケットを買い占めて高額転売する、いわゆる「ネットダフ屋行為」に歯止めをかけるものである。
 法律の目的は、①(既に転売対策として一次購入者と入場者との一致を求めている場合があるため)入場を拒まれる可能性がある入場券の流通の防止、②入場券の価格が不当に釣り上げられることの防止、の主に2つであったが、昨年末、「自由主義経済は転売によって成り立っている」ことを根拠に「チケット転売規制はむしろ不便」と主張する新聞投稿を目にした。
 確かに経済活動の自由を重んじ、ダイナミックプライシングと呼ばれる「需給によってモノやサービスの価格を変更するシステム」が開発されていることをも考慮に入れれば、過度な規制は抑制すべきだ。しかし、業界や利用者からの悲痛な声の背景として、
 ①興行主は本来、多くのファンの方に来ていただきたいという思いで価格設定しているのに、高額なチケット代を支払える人しかライブに来られない。それなのに、ファンの方が「●●さん、私はこんなに高いお金を払って来たんですよ」とアーティストの意図に反して誇らしげに言う
 ②売れ行きが好調であったにもかかわらず、興行が始まってみると会場には空席が目立ち、しかも割高なステージ近くの席はガラガラで、アーティストがやりきれない気持ちでライブを進める
 ③転売の恩恵をアーティストらが受けるものではないため、芸術や知的財産の再生産にお金が回らない
 これらの事実があるならば、アーティストの多くが名前を連ねて、「私たちは音楽の未来を奪う チケットの高額転売に 反対します」という意見広告を新聞に出したのも納得できる。
 また、1秒間に何十件ものチケット予約ができる自動プログラムの導入によって、一般のファンが最初から凌駕される状況に陥り、さらに、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催にあたって、IOC(国際オリンピック委員会)からチケットが高額転売されないよう要請を受けていた事情もあった。リオ五輪では、開会式のチケットが販売価格を大幅に上回る高額で流通していたことから、入場券を無効処分にするという事態に至った。
 新聞の投書欄は、ある事柄について賛否両論あるものを取り上げることが多いが、そもそもの立法事実(法律を制定するための社会的事実)を把握していないにも関わらず、そのケアもせず掲載してよいものであろうか。丁寧さが欠ける新聞の投書欄への採用を見て、改めて公器たる新聞の果たすべき役割、国民の知る権利に資すべき役割について考えさせられた。 〈秘書W〉

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