秘書ログ

【秘書ログ】 猪瀬前東京都知事の晩節

2014年1月10日 22:52

 前東京都知事の猪瀬直樹氏が徳洲会から5,000万円を受け取っていた問題で、東京地検特捜部が公職選挙法違反容疑などでの告発状を受理するに至った。違法な行為は許されるべきではない。だが、今回の問題が発覚するやいなや、猪瀬氏の功績のみならず人格までをも全否定するような風潮には違和感を覚えざるを得ない。是々非々で論ずるべきだ。
 まず、収賄罪に関連して、東京電力の株主総会において、猪瀬氏が東京電力病院の売却を迫ったことが不正とされている点について。この頃の猪瀬氏の著述では「東電病院は稼働率20%の赤字体質であるにもかかわらず一般開放せず社員専用としている。東電は破産して公的資金を注入したのだから病院の赤字を電気料金で補填することを許してはならず売却すべき」と極めて理路整然に説明していた。たとえ情報源が徳洲会であったとしても、この論拠に異を唱える人はいないだろう。
 次に、公職選挙法違反等に関連して、「5,000万円受け取った責任」などの見出しで、多額の金銭を扱うこと自体が不当とされた点について。本当に借りた場合は、都知事選における法定選挙費用(一候補者が選挙に使用できる費用の上限)の約9,850万円の範囲内なので金額に問題はなく、選挙運動収支報告書へ記載しなかったことについて出納責任者が公職選挙法違反の罪を問われることになる。他方、寄附だった場合は、政治資金規正法の「個人の寄附の量的制限(個人が一候補者に対して寄附できるのは年150万円まで)」に抵触するため会計責任者が罪に問われる。但し、いずれの場合も猪瀬氏自身が関与した場合には、その責めを負い都知事の職を失う。
 最後に、偽証罪に関連して、猪瀬氏の発言が二転三転したことを問題視する点について。確かに、受け取った5,000万円の趣旨が「資金提供という形で応援」から「選挙資金でなく個人的な借入」へと変遷したことは、前述の公職選挙法違反に関わるので問題だ。しかし、金銭を授受した日の移動ルートや金銭を返却した日にちそのものを訂正することは疑惑の本質ではない。あたかも地方自治法の百条委員会で偽証罪に問えると断じることの方が問題だ。そもそも偽証罪は「争点との関連性を有する陳述」について問われるものだ。
 「晩節を汚さぬように」という石原慎太郎・元都知事の助言は、何か不祥事などがあると徹底的な批判をする「水に落ちた犬を皆で叩く」といった状態を招来せぬようにとの配慮だったのか。この問題に関する多様な捉え方について考えさせられた。 〈秘書W〉

【秘書ログ】 「国家戦略特別区域法」成立の舞台裏

2013年12月10日 12:33

 平議員が11月8日の衆議院本会議で代表質問を行い、政府が「成長戦略実行国会」の柱と位置付けていた「国家戦略特別区域法案」が12月7日の参議院本会議で可決・成立した。本法案は、同じ会期中に審議された他の法案に比べると平穏に成立した感があるが、それでも少なくとも2つの山場があった。  
 1つ目の山場が、法案作成過程における自民党国会議員と政府担当者との攻防である。法案は、10月18日に日本経済再生本部(総理が本部長)が決定した「国家戦略特区における規制改革事項等の検討方針」を条文化すれば良いだけのはずが、自民党に示された法案には決定の内容とは異なる条文が散見された。例えば、本部決定の「特区において、公立学校運営の民間開放を可能とする」が、法案では「(特区において、)公立学校の管理を委託することができるようにすることについて〈中略〉検討を加え」と後退していた。結局、平議員による指摘など党内議論を経て、すべて官邸の意向に沿う形に直されたが、国語力の問題だけかもしれないものの、法案を骨抜きにする官僚の抵抗は、平議員らの言葉を借りるならば、まさに「神をも恐れぬ所業」であった。
 2つ目の山場が、衆議院内閣委員会での与野党修正協議という神経戦である。法案の哲学を曲げることなく、多くの政党が賛成できるよう可能な限り意見を取り込む。この難易度の高い仕事を同委員会理事の平議員が行った。例えば、企業の進出を促すため特区における"雇用指針"を官邸主導で明確化することについて、厚生労働省を介入させたい民主党は当初、雇用指針に関する条文そのものの削除を求めてきた。しかし、官邸主導による雇用指針の作成は、この法案の肝とも言えるものなので、平議員はこの要求を跳ね返し、条文の追加による解決を逆に提案した。そこで、民主党が示した条文は「(雇用指針に関し、)厚生労働大臣が述べた意見を尊重する」だったが、「ここだけ厚生労働大臣を入れるのは法案全体を見たときに違和感を生じるので横並びとしたい。また、総理が含まれることを担保したい」と交渉し、「(雇用指針に関し、)内閣総理大臣及び関係行政機関の長が述べた意見を尊重する」という総理のリーダーシップを残しつつ厚生労働大臣も関与できる形に落とし込んだ。そして、他の政党との交渉においても精緻な対応と果断な調整を続けた結果、自民、公明、民主、みんな、維新が法案に賛成するに至った。
 先の通常国会では、平議員が経済産業大臣政務官として法案の作成・成立に尽力していた電力システム改革を進めるための電気事業法改正案が、重要法案の成立より政局を優先した野党の方針で廃案(但し、その後の国会において成立)になった。それだけに、国家戦略特別区域法も政局に巻き込まれ、危うく電気事業法の二の舞になるかと思われた中、与党の最後の踏ん張りで成立したことについては強記したい。 〈秘書W〉

【秘書ログ】 北朝鮮・寧辺から立ち昇る脅威

2013年9月20日 17:22

 「北朝鮮・寧辺(ヨンビョン)の黒鉛減速炉が再稼動したことを米当局が確認した。同減速炉をめぐっては、『38ノース』が衛星写真の分析により、施設から白い蒸気が立ち昇っているのを確認していた」と某新聞が9月18日に報じた。
 遡って2008年6月、北朝鮮・寧辺核施設で冷却塔の爆破が行われた。崩れ落ちるシーンが印象的だったが、冷却塔などの冷却設備は復旧がしやすいこと、当面必要なプルトニウムは既に抽出済みだったことなどから、"爆破ショー"に過ぎないと北朝鮮の歩み寄りを懐疑的に見る向きが強かった。他方で、北朝鮮が、冷却塔の爆破後の2009年5月(通算2回目)と2013年2月(通算3回目)に核実験を実施したことについては、核実験を行う分だけプルトニウム残量が減るので、核の脅威の低減という観点からは好ましいとする専門家もいた。しかし、黒鉛減速炉の再稼動が事実ならば、六か国協議等の状況にもよるが、今後北朝鮮が核実験を行うことなどにより、核弾頭の小型化や増産を推し進める恐れも出てくる。
 北朝鮮の恫喝外交の手段としての核兵器とミサイルは、2つをセットで考えなくてはならない。大量破壊兵器である核兵器はその運搬手段であるミサイルがなければ直接の脅威とはならないし、ミサイルは核兵器が積まれていなければその脅威が減じられるからだ。では、北朝鮮の核兵器とミサイル開発は、それぞれどの程度進んでいるのか、最近の北朝鮮の動向や報道をもとに確認したい。核兵器については、3回目の核実験後、アメリカ国防情報局が「北朝鮮は弾道ミサイル(種類は特定せず)に搭載可能な核の小型化に成功した」と分析した(但し、その後アメリカ政府高官が相次いで否定している)。ミサイルについては、2012年12月の発射実験の成功により、射程が10,000km以上でアメリカ本土に到達可能な技術を有していることが明らかとなり、残るのは核弾頭を大気圏内へ再突入させる技術のみと指摘されている。
 さて、ここで注意したいのが、これらは、あくまでアメリカ本土へ到達するミサイルと、それに搭載可能な核弾頭についての話であり、日本への脅威とは別の話ということである。対日本について、日本全土をほぼ射程に収めるノドンミサイルは、既に開発済みで200基以上保有していると言われており、核弾頭についても、韓国国防研究院の研究委員がノドンに搭載できる程度まで核弾頭を小型化したとの分析を発表している。つまり、日本に対しては、常にその刃が突き付けられているとも言えるのである。日本の外交防衛当局や情報機関は当然それらを念頭に交渉や対策に努めているので、むやみに危機感を煽る必要性も喧伝する必要性もないが、報道に付随し敢えて"この脅威"について書かせていただいた。〈秘書W〉

【秘書ログ】 その気になればすぐにでもできる"行政改革"

2013年9月 4日 18:38

 "行政改革"というと、まず頭に浮かぶのは、中央省庁の再編などの"組織機構改革"や天下りのあっせん禁止などの"公務員制度改革"等であろう。これらは規模や影響が大きいため、実現までには時間も労力も要する。しかし、地道で弛まぬ説得は必要ではあるが、迅速にして即効性もある"意識改革"や"業務改革"という、その気になればすぐにでもできる"行政改革"も存在する。今回はこれに注目したい。
 それは、実に小さな記事であった。先月の新聞紙面に「試作品開発から販路開拓までの費用の3分の2を補助する『ものづくり補助金』では、申請書類を従来の半分以下に減らした」とあった。この削減は、東京都大田区で開催された"ちいさな企業"成長本部の場で、中小企業経営者から安倍総理に要請され、総理がその場で実現を約束し、経済産業大臣政務官である平議員が手掛けたものである。役所では、予算の獲得とその適正な執行が人事評価上も重視されることから、膨大な資料を出させるなどこれまでは事前チェックが厳しかった。しかし、今回のケースでは、約1万社を対象に1,007億円を緊急で支援するという政策目的もあるので、多くの企業の申請を簡便にし、事後のモニタリングを強化する方針に改めた。
 次いでこれも経済産業省での事例である。政府の各種支援制度は、制度の存在そのものが分かりづらく、どの制度が利用者側のニーズに合うのかに見えにくいと言われている。また、同じ省内でさえも、隣の部署の政策を把握していないことが多いと聞く。そうした背景を受けて、政策を利用する側の立場に立った「ミラサポ(未来の企業★応援サイト)」(https://www.mirasapo.jp/)というポータルサイトが開設された、ミラサポでは、企業自らが資金調達や人材採用などのニーズに合った政策を探すことを可能にしている。よって、今後は、政府の施策に関する情報格差が是正され、必要な人に必要な支援が行き届くことが期待される。
 さらに経済産業省での事例である。これまで、同省は、主として国内の企業を対象に経済政策を立案してきた。しかし、国内で元気な企業こそ海外進出し、日本に利益を還流させることが分かってきたので、その政策転換を行った。ここにおいて、「中小企業海外展開現地支援プラットフォーム」(http://www.jetro.go.jp/services/platform/)という枠組みを8カ国・10地域で作り、現地で事業を行う際にワンストップでサービスを受けられるようにした。従来、行政サービスは「たらい回し」と揶揄され、必要なサービスをすぐに受けられないこともあったので、今後はその改善が図られるであろう。
 いずれも平議員が経済産業大臣政務官になって僅か8ヶ月の間に実現された"行政改革"である。政策を利用する側の立場に立って考えるという"意識改革"で成し遂げられた"業務改革"であり、まさに行政のパラダイムチェンジと言えよう。身びいきとの指摘を覚悟の上、紹介させていただいた。〈秘書W〉

【秘書ログ】 平将明議員が"標的型メール"に狙われる。

2013年7月26日 14:37

 平将明議員のパソコンに、某新聞社の記者を名乗る者からの"なりすまし"メールが届いた。報道でも紹介されたが、件名は「取材のお願い」で、内容は「日本経済再生問題」について、そして、差出人は「某新聞社に実在する者の名前」が使われていた。これは、特定の組織や人物を狙った、いわゆる標的型メールで、平議員がターゲットにされた。その後、国際政治アナリストや大学教授にも同様のメールが届いていたことが明らかになってきた。
 標的型メールは、添付ファイルを開いたり、リンク先をクリックしたりするだけで、自動的に外部に接続され、知らないうちにコンピュータ内部の情報が抜き取られてしまう。また、メールソフトの受信設定が「メールをHTML方式で開く」となっている場合には、メールを開くだけで感染し、さらに、メールソフトが自動的にプログラムを実行する機能を有している場合には、小さなウィンドウで内容を確認しただけで感染してしまう。
 内閣官房情報セキュリティセンター(NISC)などによると、かつて標的型メールは、件名が英語だったり、添付ファイルが.exeというプログラムファイルを表す拡張子だったり、本文での日本語の使い方が誤っていたり、使われているフォントが中国語フォントだったりということで見破れたそうだが、最近は、添付ファイルの拡張子が普通の文書ファイルのものと見せかけられていたり、実在する政府関係者のメールアドレスで送られてきたり、通常のメールを装って何回かやりとりした後に標的型メールが送られてきたりと、より巧妙化しているとのことである。
 今回の事案は、平事務所内のパソコンへの侵入にとどめられ、パソコン内部での活動(重要情報の窃取、システムの乗っ取り)を許すには至らなかったため事なきを得たが、過去の事例からすると、外国機関の関与も否定できないので、日々進化するサイバー攻撃に関する情報の収集に、秘書としても励まなくてはならない。
 なお、NISCによると、スマートフォンについては、データの窃取だけでなく、遠隔操作で通話の盗聴を行うマルウェア(悪意のあるソフトウェア)も確認されているので、重要な会議の場への持ち込みなどには注意が必要とのことである。米国防省が、サイバー空間を、陸・海・空・宇宙に次ぐ「第5の戦場」と定義していることの重みを噛み締めなければならない。〈秘書W〉

【秘書ログ】 "政治主導"で実現した「成年被後見人への選挙権付与」

2013年7月19日 17:09

 「成年後見人が付くと選挙権を失うとした公職選挙法の旧規定は、参政権を保障した憲法に違反する」として起こされた一連の訴訟は、7月18日の札幌地裁での和解により終結した。この和解は、5月27日に国会で「成年被後見人の選挙権の回復等のための公職選挙法等の一部を改正する法律案」が可決・成立し、成年後見制度を利用する約13万6400人が、この参議院選挙から投票できるようになっていたことからなされたものである。
 ある政党が与党となって内閣を組織するとき、政党自体の動きは見えにくくなる。そのため、与党は、政府の追認機関に陥っていると誤解されることがある。しかし、自民党においては、常に政府に対して、党としての視点から強く応じるので、時には政府との亀裂を感じさせることさえあるが、その政治のダイナミズムこそが政策変更の舵を切る原動力といえる。
 自民党では、東京地裁で本件に関する違憲判決が出された直後から、選挙制度調査会などで様々な議論を重ね、5月9日の会議で公職選挙法改正案の要綱を了承、党内手続きを経て、5月17日に野党と協力し議員立法として衆議院へ提出した。法案は、5月21日の衆議院本会議において全会一致で可決、続いて5月27日の参議院本会議においても全会一致で可決、成立した。裁判の原告が傍聴する中での採決は、鮮明に記憶に残っている。
 自民党の会議では、家族が障害を抱える議員などから「そもそも成年後見制度の趣旨は、障害のある方々が財産の管理や契約などで不利益を被らないよう保護・支援することであり、人権を不当に制約することではない!」などの主張がなされた。公職選挙法を所管する総務省から、「本人の自由な意思をどのように担保するのか?」「トラブルをどう回避するのか?」という主に制度面からの懸念が示されたが、これらは、不正投票を防ぐよう、代理投票を行う補助者を投票管理者(市区町村の選挙管理委員会が有権者の中から選任)が投票所の事務に従事する者のうちから定めるなど、政治主導で解決が図られた。
 行政の役割が、決められた政策を着実に遂行し、現行の制度を安定的に運営することだとしたら、政治の役割は、スピーディな政策決定や思い切った政策変更ということになる。それこそが政治の真骨頂であろう。テレビに映し出された選挙権を回復した方々の笑顔を見て、自民党での熱き議論を思い出した。〈秘書W〉

PAGE TOP